地域を支える女性団体と言えば、まず婦人会を思い浮かべます。
戦前は、官製の色合いが強い愛国婦人会、大日本国防婦人会、大日本連合婦人会という３つの大きな団体がありました。太平洋戦争に突入すると、完全な官製組織として大日本婦人会が設立され、子どもたちを戦場へ送り出すことに一番抵抗感を持っているお母さんたちの想いを完全に封鎖してしまいました。

終戦後、日本を占領下に置いたマッカーサーは民主化政策を進め、選挙権賦与による婦人の解放や学校教育の民主化などの改革を断行しました。
日本を平和の砦として築くため、婦人に大きな期待が寄せられ、新日本婦人同盟、婦人民主クラブなど次々と華やかな団体が誕生し、地域では、同一地域の主婦であるということを共通項とした地域婦人会が育っていきました。

賀露町婦人会も、この頃設立されたようです。
設立時、賀露町婦人会が目の当たりにしたのは、他の地区と比べて過重労働による罹病率がたいへん高いこと、子どもとの接触時間や一家だんらんの時間が極端に少なくて子どもが放任状態におかれているという実態でした。賀露誌には、「町内の主たる女性の家に集まって、困りごとや解決方法などを話し合い、慰め励まし合った」との記録が残されています。とりわけ婦人会の中に特別に設置された漁業婦人部の活動は目覚ましく、「漁村の生活向上を願って」と題した20年間の活動報告は全国に紹介されました。

昭和27年、地域婦人会の全国組織として全国地域婦人団体連絡協議会（全地婦連）が結成されました。その活動は公害や廃棄物問題など社会問題の解決へと発展し、賀露町婦人会も呼応して活動の輪を広げていきました。
そして現在、男女共同参画社会の実現を目指す全地婦連は、名称を「全国女性団体連絡協議会」と変更しました。賀露町婦人会も「女性の会」として、未来を見据えた活動を模索されているとのことです。地域を支える女性団体の今後の益々のご発展を祈念するばかりです。