八景とは、地域の優れた八つの風景をいいます。近隣では湖山池八景、浜坂八景、 東郷八景などがあり、地域の PR に一役買っています。
賀露の八景は、故 広沢栄一 さん が漢詩に詠んでいます。 広沢さん は獣医師として産業動物や愛玩動物の獣医事に携わるかたわら、「玄哲」と号して多くの優れた漢詩を残されています。
広沢さんの賀露八景をご紹介します。
解 説
賀露の高台から眺めると眼前に見事な白砂の丘が広がり、ひときわ高くそびえ立つ鳥ケ島の頂(いただき)は気品さえ感じる。
賀露神社の古い松に落ちる玉雪の景色は美しく、東善寺を照らす春の陽はゆったりとしてしみじみとした風情を覚える。
夏は米倉(よなぐら)に立って東西に延びる磯浜の風を受けると気持ちが良く、南北を囲む海や山から見える漁火は、秋の哀愁を誘っている。
船が港に帰り、魚が荷揚げされて賑わう競り市は、賀露の自慢の風景だ。
人々は今も昔も無口で飾り気がなく、英知豊かな仲間の集いもまた賀露の誇る風景である。
文責 石黒仁史