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昔むかし、鳥取池田家の初代の殿さん、池田光仲公の家臣に、臼井本覚という剣術がとっても強い侍がいました。 その頃、面影山の麓、桜谷村と今在家村の境のあたりは「地蔵森」といって、大木が茂って昼間でも薄暗く、大変気持ちがが悪い所でした。その森の中の道端にお地蔵さんが立っていました。 ある夏の夜、臼井本覚は、妖怪が住んでいるという噂がある香取村の意上奴神社の森へ、噂の真偽を確かめるため、供も連れずの形は、あたかも暗闇の中で、たくさんの妖怪が踊っているように見えました。しかし、いくら待っても妖怪は姿を見せないので、再び夜の道を帰って来ました。本覚が地蔵森に差し掛かると、突如、目がキラキラと光る妖怪が現れて、行く手を塞ぎました。さては意上奴神社の森の妖怪が現れたのかと思い、少しもひるむことなく、腰の大刀を引き抜き、一刀のもとに妖怪を袈裟懸に切り捨てました。確かな手ごたえを感じたので、そのまま家路につきました。 二つに離れた地蔵さんを、もと通りのように一体に直してから、最初あった場所に戻し懇ろに祀りました。その後、意上奴神社の森に妖怪出るという噂は聞こえなくなりました。 袈裟懸に切られた傷跡が残っている地蔵さんは、「桜谷の袈裟懸地蔵さん」といって、村の人達の信仰を集めています。 ![]() |