南吉成

 南吉成町内会は、日本経済の高度成長期に従業員確保のため、昭和45年7月に鳥取駅南工業会23社で構成する、福祉事業協同組合(従業員住宅)持ち家制度として発足し、今年で36年目を迎えました。
 当時は、平均建坪15坪・土地家屋付きで230万円位が立ち並ぶ住宅地でありました。小さいながらもマイホームの夢が実現した喜びは直後に町内会を発足させ、和やかな近所付き合いが始まりました。当時、町内会費200円/月、平均10戸を一班とし計10班で構成する町内会活動が記録されています。町内に集会所がない中で、班会議は毎回班長さんの自宅で行い、年次総会は鳥取工業福祉会館(現在の鴻南閣)に出向いて行なっていました。
 駅南地域の宅地開発が進む中で、2年後には北隣に中吉成町内会、さらに2年後には南隣に清水団地町内会が結成されました。どちらの町内にも広い土地付きの大きな家が建ち並び、私たちの町並みとはどことなく違う思いを抱いたものでした。
 その後、昭和54年12月に規制が緩和され、新築や増改築が認められるようになりました。これを契機に子どもたちが成長した世帯では、より広いマイホームへの夢を実現し今日に至っています。一方で子どもが遊ぶ公園や、集会所建設の夢は空地のない状況を未だ打開できないままです。
 昭和61年に国道53号線沿いの会社跡地が宅地化され、新たに18戸(現在21戸)が町内会に加入され、120戸12班編成となりました。この開発において、町内に小さな公園が完成し一つの夢が叶いました。
 発足当初の和やかなご近所付き合い的な活動領域が、定住化の進行や子どもたちの成長とともに、子ども会活動や体育活動、さらには町内イベント的に拡大充実していったのは、他の町内会の歩みや、世相の反映から必然的であったのでしょうか?
 そのような中で、早くから自主防災活動への取り組みを強化し、消火ホースや消火器等の町内配備状況については、他に誇れる充実したものであると自負しています。活動範囲は防火・消火にとどまらず、避難訓練や救急救命講習会など、町内活動の重要なテーマとして取り組んでいます。
 南吉成ではここ数年、町内全員参加型の行事を続けています。高齢者世帯と子どもがいる若い世帯が、世代を越えた近所付き合いをしていくことが、将来の「地域づくり」や「ひとづくり」にとって、大きな力になっていくことを念じるものです。
 その活動の拠点となるべき「町内集会所建設」という、発足当初からの夢の実現に向けて、力の結集を図ることが、3年後に40周年を迎える町内会に課せられた、喫緊の課題ではないかと考えています。

(美保南地区・美保南地区公民館 発足20周年記念誌 美保南のあゆみ より)